これは現代社会の縮図です。 「老人の」 「老人による」 「自転車のための事故」 これが問題なのです。
待ってください。この事故の原因はむしろ、雨傘をさしていたことにあるのではないでしょうか。ですからこれは、 「老人の」 「老人による」 「雨傘のための事故」 であるはずです。
それならば、そもそもこのような事案は通常であれば避けられたはずです。それではなぜ事故が発生したのか。それは路面状況が悪くて滑りやすく、また視界も悪かったからです。そして滑りやすい路面状況を生み出したのも、視界を悪くしたのも、原因は雨にあります。ですから、 「老人の」 「老人による」 「雨のための事故」 これに尽きるでしょう。
いやいや、それは環境に責任転嫁しすぎですよ。それに雨が降っていたという明確な描写はありません。貴方、投資とかしちゃダメなタイプですね。いいですか、事故の原因は結局のところ不注意です。だから、 「老人の」 「老人による」 「不注意のための事故」 これですよ。
これでは何の教訓も得られません。それに事故というのは過失、つまり不注意で発生するもので、過失がなければ故意、つまりわざとぶつかったことになり事件になるのですよ。「不注意のための事故」なんて「事故のための事故」と言っているのと同じです。前世は環境大臣ですか?でも、ひとつだけ同意できることがあります。雨の描写はありません。無意識の前提は打ち破られるべきです。つまりこれは、 「老人の」 「老人による」 「日傘のための事故」 なのです。
いやいや、ジジイが日傘をささないでしょ。ああ、貴方すごいジェンダーバイアスについて語りそうな目で睨みつけてきますね。でもジジイなんてジェンダーバイアスバリバリの時代を生き抜いてきたわけだから、男も日傘をさす時代なんて知らないでしょ。そもそもジジイの傘の上の集中線みたいなの、これが雨でしょ。それに一番問題なのは自転車を漕ぎながら傘をさしていること、これはジェンダー以前に道交法違反です。つまるところ、 「老人の」 「老人による」 「道交法違反のための事故」 これで決定ですよ。
法律の問題だったら画像が老人同士にする必要がないでしょ。そんなんだったら、自転車に乗る少年と傘をさすお姉さんにした方がよっぽど皆さんの性癖に刺さるというものですからね。もう、 「老人の」 「老人による」 「老人のための事故」 で確定ですよ。
老人のための事故なんて言ったら字面から想像するにジジイがジジイに乗ってババアに突っ込んだみたいになるじゃないですか。何ですかそれは。3Pですか?3P大学ですか? 「老人の」 「老人による」 「3P大学附属病院のための事故」 そういうことですか?
そういえばなぜ私たちは最後の一文にばかりとらわれていたのでしょうか。よく考えたらおかしいじゃないですか、ジジイが傘をさしながら自転車に乗ってるなんて。ジジイはカッパを着てるのが相場じゃないですか。存在します?カッパを着てないジジイなんて。そう、それじゃあこのジジイは誰だって話になりますよね。いいですか。落ち着いて聞いてください。このジジイは老けメイクを施された団長安田なんですよ。それ以外ないですよ。ですから、 「老けメイクを施された団長安田の」 「老けメイクを施された団長安田による」 「3P大学付属病院のための事故」 なんですよ。
いや、それはあまりにも被害者側を軽視した考え方ですよ。もっと被害者側に寄り添ってみましょうよ。例えば傘とか……え?そういえばなんでおばあさんは傘の持ち手を持ってないの?ていうか、傘の持ち手が折れ曲がってない……折りたたみ傘?手ぶらなのに?折り傘のみ持参?どういう心境?それに比べて団長安田は自転車なのに長傘持参だし。ふつう逆じゃない?逆?HIROってこと?折り傘のみ持参のHIROってこと? 「折り傘のみ持参のHIROの」 「老けメイクを施された団長安田による」 「3P大学付属病院のための事故」 ってこと?
これは現代社会の縮図です。 「折り傘のみ持参のHIROの」 「老けメイクを施された団長安田による」 「3P大学付属病院のための事故」 これが問題なのです |