最近オープンした「ダメダ珈琲店」の評判が最悪な理由
デュクシが死んだ。 私のデュクシが死んでしまった。 私は悲しみでいっぱいだった。 でも、どうやって泣いたらいいかわからなくて、まだ泣けていなかった。 デュクシは、柴犬の雑種で、水をたくさん飲む犬だった。水をたくさん飲んで、たくさんおしっこをした。 デュクシにはお気に入りのおしっこスポットがあった。木が一本だけ生えた空き地だった。デュクシはその木に目掛けておしっこをした。おしっこは木漏れ日に照らされ、きらきら光って綺麗で、私はデュクシのおしっこを見るのが好きだった。 ある日、デュクシのお気に入りのおしっこスポットの空き地が喫茶店になっていた。ダメダ珈琲店というらしい。デュクシはダメダ珈琲店の壁に一度だけおしっこをしたが首を振り「ワフ」と吠え、それきり二度とそこではおしっこをしなかった。 デュクシはその8日後の夜に老衰で死んだ。 次の日の朝、私はバイト先に「風邪をひいたので休ませていただきます」と電話して、デュクシと散歩した道を歩いた。 ダメダ珈琲店だ。 カランコロンカラン。 店内はオレンジ色のランプに照らされ、ちょうどいい明るさだった。木でできた4人掛けのテーブルに私は座った。珈琲を挽く音が心地良い。バターが溶ける匂いが鼻をくすぐる。私は昨日の夜から何も食べてなかったことを思い出した。 メニュー表を開いて、店主を呼び、ホットコーヒーとクロックムッシュを頼んだ。 メニュー表を戻そうとして、メニュー表を置く台に、ラミネートされた一枚の紙を見つけた。
『白ごはんに合う最強のおかずグランプリ 初週の一位は【明太子】に決定!!!』
店主を呼び、胸ぐらを掴んで 「おいコラボケカスっ!なんやねんこれ!なんやねんこれ言うとるやろ答えんかいワレコラ!!!」 と、尋ねた。 か細い声で 「明太子が一位でした」 と、店主は答えた。 「しょーもないことすんなボケカスっ!喫茶店に明太子ごはんあるんかボケカスっ!メニュー表載ってへんかったやんけクソガキがボケカスッ!!」 「パスタなら、できます」 「ほならせめてパスタのグランプリやろがボケクソカスッ!そういうことちゃうねんボケっ!!しょーもないことすんな言うてんねん!!!おもんないねん!お前のせいでデュクシは死んだんじゃボケカスが!!!!しょーもない珈琲屋やんなクソガキが!!!プライド持てカス!殺したろかボケカス!脳天かち割って脳味噌ちゅーちゅー吸うたろかぁぁぁぁぁああああんうぇぇぇぇぇぇぇええええぇぇぇええんデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシデュクシぃぃぃ」 私は、自分の口から出た恐ろしい言葉にびっくりして、おんおんと泣きじゃくってしまった。
★☆☆☆☆ 1.0 (1件) 明太子パスタがパサパサでした。 |