「ねぇお兄ちゃん、これ見て!」「やった!コメントだ!コメントがついたぞ!」 自分たちで作った動画に、初めてコメントがついた。彼らは兄妹Youtuber“水漏れポンド”である。3か月前に兄のジョン、妹のアンナによって結成され、これまで20本程度の動画を投稿している。そんな彼らのチャンネル登録者数は……
“14人”。
そう、彼ら水漏れポンド(以下“水ポン”と表記)はいわゆる「底辺Youtuber」である。この言葉はHIKAKINや東海オンエアなどの有名Youtuberに憧れてと動画投稿を始めてみたものの、一向に再生数やチャンネル登録者数が伸びずに現実を見る人々の総称である。そして、彼らもそのひとつの例であった。兄のジョンは以前から2人組Youtuber“水溜りボンド”の大ファンで、「自分もこうなってみたいな〜」と思って妹を誘ったのが水ポン結成のきっかけである。しかし世の中はそう甘くなく、今もなお伸び悩む日々が続いている。
────────────────────────────── 【Youtuberが成功するためには 〜底辺が「底辺」である理由〜】
はじめに
Youtuber業界は日々拡大している。インターネットが全世界に普及した現在、年齢、性別、国籍、経歴を問わず世界中でさまざまな人々がYoutube上に動画をアップロードしている。日本では事務所に所属して職業として活動する専業Youtuberが多数存在する一方、最近ではお笑い芸人やアーティスト、スポーツ選手などの転身も目立つ。このような状況で問題となるのが、いわゆる「大手」と「底辺」の格差である。2021年現在、日本最大手の事務所であるUUUMだけで4500人ものYoutuberが所属しており、ほかの企業や個人で活動する人も入れると10万を優に超える数のYoutuberが存在する。しかし、Youtubeでの広告収入やスーパーチャットなどの収益で生活することができる人は上位数%、ほんの一握りである。そして残りは登録者数2桁や3桁のまま、収益化すらできずに底辺としてYoutuber人生を終えることとなる。では、このレッドオーシャンの中で有名Youtuberになるにはどうすればいいのか、伸びる人は何をしているのか、底辺とはどう違うのか、それらについて以下に述べる。
(1)活動方針は明確に
まず、Youtube上で活動していく上での方針や目標が定まっているかどうかが大きな差を生む。たとえば視聴者のターゲットをどうするか、そのためにどのようなジャンルの動画をメインコンテンツといった活動方針、いつまでにチャンネル登録者数10万人を目指すといった目標、さらに最終的にどうなりたいかといったイメージ像などをすべてはじめに設定しておくことで、活動のモチベーションを維持し、最小限の努力で最大限の成果を出すことができる。これから伸びたいYoutuberにとって、これは基本中の基本である。 一方、底辺Youtuberは目標が曖昧なまま、行き当たりばったりに活動していることが多く、結果自分が本来やりたいことを見失い迷走してしまうケースが多い。
(ちなみに水ポンは後者である。そもそもYoutuberを始めたきっかけが兄の思い付きであり、妹に至ってはただ付き合わされているだけである。活動内容も適当だし、根幹となるメインコンテンツもない。将来のイメージ像なんてお金持ちになりたいとか有名Youtuberに会いたいとかそんなもんだ。これでは伸びるわけがない。)
(2)「誰も見たことがない」動画へ
次に、動画の内容の話をする。ざっくり言うと、伸びるためには「新しいもの」を見せるべきである。たとえば誰も見たことがない美しい風景や、結果の想像がつかないような実験、またこれが好きな人いるの?と思うようなニッチなジャンルの動画も良いだろう。現在「大手」と呼ばれる人はほぼ全員これを念頭に置いて動画を製作しているし、視聴者はほぼ全員これを求めている。実際、現在登録者数426万人を誇る水溜りボンドがここまでの人気を博したのは毎回驚きの結果となる実験動画がメインコンテンツとしてあったからである。それだけ企画力はこの世界でモノを言うのだ。 一方、底辺Youtuberはいつも大手の二番煎じばかりである。たとえどんなに面白い企画でも、HIKAKINが同じことをやっていたら大多数の視聴者はHIKAKINの方を見るだろう。いきなり出てきた素人がすでに見たことがあるようなことをやってるところを見る時間があるほど人は暇ではないのだ。
(もちろん水ポンは後者である。企画はだいたい水溜りボンドのパクリだし、そもそもチャンネル名が「水溜りボンドと間違ってクリックしてくれないかな〜」という狡猾さから名付けられたものだ。アイデンティティのかけらもない。あとこいつらは内輪ネタも非常に多い。ジョンと同じクラスのアンディ君がやってたギャグを何十回も擦っている。14人しか見てないのに内輪ノリをやる勇気はすごいと思う。これでは伸びるわけがない。ちなみに一番伸びた動画は「アンナはソファに座ってパンツを見せながらHIKAKINを批判する動画」である。動画が軽率に伸びるエロと炎上を組み合わせた最悪のキメラだ。しかもその再生回数は57回。そして低評価が57個。これではシバターでも救いようがない。)
(3)底辺が「底辺」である理由
ここで挙げただけでも「大手」と「底辺」には大きな隔たりがあるにもかかわらず、なぜ底辺Youtuberは動画投稿をやめられないのか。それには、「有名人と同じ土俵に立っている」という心理が関わっている。これは従来のタレントと最も異なる点であるといえる。テレビで活動するお笑い芸人を例にとると、彼らは養成所や小劇場での下積み時代を乗り越え、M-1などの賞レースで勝ち上がり、多くの人に認知されることによってようやく初めてテレビに出ることができるのである。一方、Youtuberはそうではない。動画を1本出して「Youtuberです!」と言えばもうYoutuberである。たとえ底辺Youtuberでも、いわゆる大御所と住む世界が全く変わらないので、自分の何が駄目なのか気づかず、「今はただ運が悪いだけだ」と思い込んだまま、来るはずもないバズを待ち続けるのだ。
(水ポンも例に漏れずそうである。動画の再生数が伸びないのをバカな視聴者のせいにする一方、来るはずのない仕事依頼のためのメールアドレスを概要欄に貼り続けている。ダサすぎ。そして動画の最後には「ヒカキンさんコラボ待ってます!」と必ず言ってる。来るわけないだろ。)
最後に
このように、多くの底辺Youtuberは「底辺」であるだけの相応の理由があるのだ。ほとんどは自分の動画を見つめ直すことで改善する些細な問題であるにもかかわらず、それに気づかず、ただがむしゃらに活動を続けている。もしこれを見ている人の中に底辺Youtuberがいたとして、「底辺」である自分に不満があるのならば、自分の動画を今一度見つめ直してほしい。そこには必ず伸びるためのヒントが隠されているはずだから。
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そんなことはつゆ知らず、水濡れポンドことアホ兄妹は初めてのコメントに狂喜乱舞していた。哀れすぎる。ちなみにそのコメントとはこれである。
一般通過ディープインパクト・32分前
ヒヒーン
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