「母さん!おれ東京行っても数回会っただけで相手の家賃や給与の金銭事情家族の会社名まで恥ずかしげもなく聞いたよ、塾と私立校を過剰に見下したよ、古着屋で足元を見られながら買った異常にカラフルな服で街を闊歩したよ、深夜までだらだらもう一軒もう一軒と引き伸ばす事でしか繋がりを実感せず、百貨店のフロアガイドも見ずに歩けるようになり眠らない街に心躍らせ丸の内赤坂麻布六本木広尾ミナトクミナトクと鳴き叫び、太陽に当たったことのない指の細い女を横にVIP席でブランドロゴをでかでかと掲げ、県人会の葉書にはいそいそと出席と返し、〜さん同郷なんですよぉとジンミャクを作り、東京なんて田舎者の集まりだよと言う度に最高のオーガズムを何度も何度も感じ、東京らしく、東京に馴染んで、東京の中に俺は、東京、お前はもう東京じゃない、俺の夢なんかじゃない、服従しろ、跪け、この野郎が、お高く止まりやがって、お前なんか、やっつけて、いや、やっつけてやった、所詮田舎者の集まり、俺は東京に染まった、いや俺が東京を染めてやった、攻略した、ただの土地、ただの場所、村、そう、とうきょうむら、とうきょうむらだ、ああ、これでお前と俺は同じ、同じにしてやった、母さん東京はもう俺の村だ、俺の村なんだよ!」 |