モモス さんの作品
えー続いてのお便りです、ラジオネーム【恋する受験生】さん、女の子です。
「雷華さんこんばんは、私には好きな人がいます。同じ図書委員の男の子です。横顔がとってもかっこよくてチラチラ見ちゃってます。彼はいつも本を読んでいるか、受験勉強をしているので、あんまりお話しできてなかったんですけど、今日は少しお話しできました。雷華さんのラジオを毎週かかさず聴いていることを話しました。だからもしかしたら彼も聴いてくれてるかなーなんて・・・、なので勇気を出します。もし合格したら勇気を出してデートに誘います。聴いてくれてるかわからないし、彼の受験の邪魔をしたくないので、お返事はその時でいいです。告白するために私も勉強がんばるぞー!!」
あらあら良いですね、青春ですね、ね、いいなー、いやー良い、うん、ちょっとまあここで、私から何かコメントする前に、次のお便り読んじゃいますか、うん、その方が絶対いいから、ラジオネーム【平兼盛】さん、男の子です。
「雷華さんこんばんは、僕には好きな子がいます、その子が雷華さんのラジオを聴きながら受験勉強を頑張っていると聞いて、このメッセージを書いています。”好きな子”と言ってしまいました!その子はこのラジオを毎週欠かさず聴いているのに!その子も僕も受験生でお互い図書委員です。彼女はいつも受験勉強を頑張っていてなかなか声をかけることができなかったんですが、今日は少しお話しができて嬉しかったです。さて、”好きな子”と言ってしまいました。本当は直接会って告白するべきかもしれませんが、この場をお借りして告白させてください。〇〇さん(ここ本名なので今のご時世的に伏せておきますね)好きです。大好きです。お互い受験勉強していたり、本を読んでいたりで、じっくり長くお話ししたことはないけど、一緒に過ごした時間は長くなりましたね。図書委員の仕事で一緒に展示を作ったときから〇〇さんのことが気になるようになりました、本を丁寧に扱う姿に見惚れてしまいました。そこからすべての所作をチラチラと横目で追うようになって、気がつけば〇〇さんのことばかり考えています。受験勉強の邪魔はしたくないし、する気もないのですが、他の誰にも渡したく無いという気持ちが強くなってしまいました。大学にはチャラチャラした男が多いと聞きます。それを僕は恐れています。このまま連絡先も交換せず、アプローチもせず、サヨナラは嫌なので、明日勇気を出して連絡先を聞くので良かったらチャンスをください。もっと仲良くなって、好きになってもらって、交際を申し込みたいと思ってます。雷華さん、告白を代わりに言わせてしまってすみません、明日は自分の口で言います、応援していてくださいね!」
とのことなんですけど、いやほんとだよ、私が告白したみたいになっちゃったよ、いやー、ね、みなさんもうお気付きだと思うんですけど、【恋する受験生】ちゃんの本名は【平兼盛】くんのお便りに出てくる〇〇さんと一致しており、都道府県も一緒です!99%当事者二人です、なんだよ、もう両想いじゃねーか!応援するもなにもないね、勝ち確定の告白だよ、良かったね、なんかニヤニヤしちゃうね、まあでもあれだね、一つだけお節介しとこうかな、二人とも勉強の邪魔したくないからってじっくりいこうとしてるじゃない?その気持ちが二人ともにあるなら大丈夫だから!がっつり進展させちゃいなさい!二人向き合う関係じゃなくてさ、同じ方向向いて歩いていく関係なら隣にいて大丈夫だから、この雷華さんを信じて愛を育んでいきなさい、結婚するときは連絡してくれよな!
いやー、なんだこれ、良かった良かった羨ましいねえかチクショウ、頬が緩んじゃうよ、まったく。
はい、では、ちょっと気持ちを切り替えましてですね、えー、それでは、今週最後のお便りです。【私を止めてください】さん、男性です。
「雷華さんこんばんは、私は幸せそうな人を見ると殺したくて仕方がありません。私の心の中には鬼が棲んでいます。私はずっと気持ちを抑え込んで生きてきました。私の父は聖人であろうとする人です。自分を厳しく律して、清く正しく生きています。周りの人に施しを与え、幸福を与え、赦し、尊敬され、崇拝されております。唯一の欠点は息子の私にだけは、自分と同じように聖人であることを求めたことでしょうか、私も他の人と同じように赦されているなら心に鬼が棲むことも或いは無かったのかもしれません。父は、私が他者より幸福であろうとすると、それを制限します。他人より多くお菓子を食べようとすると、私が理解するまでお話をします。私がおもちゃを取られて、取り返そうとすると、おもちゃをあげると言うまでお話をします。私は人一倍道徳心が強く育ちました。他者に奉仕することこそが私の喜びとなりました。ですが、内側の鬼がそれにより肥え太っていくことを私は感じとっております。何故私だけが幸せを望んではいけないのでしょう、解っています、私だって幸せを望んでいいことくらい解ります、知っています。知識として、知っています。他の人に伝える言葉ならスラスラ言えます。あなたは幸せを望んでいい。だが私はダメなのです。私はみんなが幸せになったことを見届けて、最後に、幸せになることができます。そんな日が来るのでしょうか、妬ましい、素直に幸福を受け止めることができる人が妬ましい。幸福を求めて真っ直ぐ歩いていける人が妬ましい。そしてその妬ましいという心を私は否定して押さえ込みます。私は他者の幸福を誰よりも喜び、尊いものとします。そしてそれにより心の中の鬼が肥え太り、もう抑えられないところまできてしまいました。次に幸福な人を見かけたら殺してしまうかもしれません、その前に自分を殺すべきでしょうか、悔しいです、死にたくないです、止めてください、救ってください」
あんた苦しいね、馬鹿だよほんと、本物の馬鹿、糞、馬鹿、うすのろ、あんたそんだけ考えられるのになに負けてんだよ、父親の洗脳に負けんじゃないよ、解ってるんだろ、脳みそでは、負けんじゃないよ、跳ね除けてやりな、鎖を引きちぎれよ、馬鹿、あんたならできるよ、負けんな、勝て!勝つんだよ!勝て!でもな、どうしても無理だったら、どうしても誰かを殺したくて抑えられなくなったら、私を殺しにおいで、私は望み通りの人生を生きてきたんだ、子供の頃に憧れた通りラジオのパーソナリティになってさ、話したいことなんでも話してさ、良い男いっぱい抱いてさ、生きたいように生きてきたんだ、世界一幸福な女だよ、殺しがいあるだろ、真昼間に正面からでも、夜道でいきなりでもいいからさ、殺しにおいで、でも私だって抵抗するし、強いよ、良い子ちゃんで生きてきたあんたに殺せるかな、待ってるよ、できれば素手がいいな、殴り合おうよ、私があんたを殺しちゃうかもね、だから安心しなよ、幸せな誰かを妬んでその鬼が抑えきれなくなったらさ、私が全部受け止めてあげるよ、よだれダラダラ垂らしながら剥き出しのさ、あんたのままのあんたでおいでよね、また来週
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