悪魔機械 良子(あくまきかい りょうこ)さまへ
先日はありがとうございました! 同時に、改めていくつかの不手際を謝罪、説明させて頂きます。
まず、良子様は目ざとくもウェディングケーキ上のチョコプレートの表記について指摘されました。 たしかに、チョコプレートには「Happy Wedding! Akuma machine」と表記されており、 良子様から「牛山をCowyamaと表記するようなものだ」とお叱りを頂いた時は、うつむいて下唇を噛む思いでした。
我々としては「悪魔機械」や「牛山」といった苗字の人間に出会ったことがなく、 良子様のお仕事をお引き受けする際、「金田」、よくて「犬飼」顔の女が来たという印象を持ったことを抜きにしても、 「悪魔機械」という苗字に困惑したことは隠せない事実です。 おそらくこの点については良子様も我々を責める中でいくらかの後ろめたさがあったことでしょう。 具体的には、「悪魔機械」の印鑑を購入する際に数十分待たされたあげく、 「これしか」と恵方巻きみたいなサイズの「阿久」の印鑑が出てきたものの、 文句の一つも言えず購入せざるを得なかった経験があり、それを思い出したのではと推測しております。
悲劇は続きます。良子様から依頼されたスライドショーを上映した際、新郎様の顔が黒くぼやけていた事についてです。 良子様からは「なぜスライドショーの内容を事前に確認しなかったのか」と厳しく問い詰められ、目を反らして舌打ちするしかありませんでした。
しかし、これは私どもの演出の一つであり、プライドを持って執り行った仕事の一つです。 つまり、「悪魔機械」という苗字と新郎様の容貌のバランスを鑑みて、苗字が強すぎて顔が全然入ってこないことを危惧し、 「悪魔機械」から連想した黒い戦闘機の先端を新郎様の顔にコラージュさせて頂きました。 この処置の結果、新郎様の顔に影がかかったように見えてしまったことは、我々の力不足を認めざるをえません。
なお、スライドショーの後半、新郎様と出会ってからの良子様の顔に光が当たりすぎているというご指摘ですが、 これも演出であり、その場面から白い戦闘機の先端を良子様の顔にコラージュさせて頂きました。
このように誤解であるとはいえ、数々の不手際があったにも関わらずなおすてきな結婚式だったという感想を頂き、 我々メルパルクスタッフ一同全員が救われる思いとなりました。 このお手紙は我々の今後の励みとなることでしょう。この度は本当にありがとうございました。
メルパルクウェディングプランナー 火炎最強 ひとみ(かえんさいきょう ひとみ) |