国の名前『仏』
『仏』のプロフィール
1遅かれ早かれわかる、と手の長い医師に言われ、これからは電車に乗ってでも別の診療所に行こうと決めたのだ。薬屋の裏に隠れていた子供たちは、丁寧に、小さな牛車に積まれて行ってしまった。そのてつに白いもやがかかるのを、私は確かに見た。
2家庭教師として宮廷に招かれた私は、やがて動物の絵画に目をひかれた。あれ、この国ではペンギンが見えるのですかと尋ねると、王女は怒った顔で、これお父さまの肖像画よ、と絵画を逆さに直したのだ。が、それもやはり、ペンギンが逆さになったふうにしか思われなかった。
3構造とか形式とか、そういったきれいな部分を人は好んだ。自動農園の向かいには噴水があり、その中央に青銅の像が座している。昔ここに、はじめて定住した男の像だと司書は話したが、彼女を信頼するには、片足を失うほどの覚悟が必要である気さえした。
4王女は少しおくれて、またいつか、と手を振ってくれた。私が教えた言葉のはずが、その意味するところはついに思い出せなかった。高台にのぼった2つの牛車が、積み荷を海へと捨ててゆく。木箱と木箱がぶつかって響くのを、蒸気船の窓から聞いた。 |