最近やたらと体がかゆいのは、どうやらケツがかゆいのが原因らしい。「ということは体全体がケツになってるんですか?」と聞くと、皮膚科の先生は「そうです」と答えた。馬鹿馬鹿しい。この医者じゃ話にならないので私はセカオピ(セカンドオピニオン)でケツ科の先生を訪ねた。「ケツ専門の病院があって助かりました」そう言うと、「昔からありますよ、それで今日はどうされました?」と返ってきた。昔からあったのか、ケツに特化した病院が。ふと窓の外を見る。『秋山肛門クリニック』と書かれた看板が目に入る。肛門?ケツではなく?「あ、いえ、以前皮膚科を受診した際、僕の体がケツになっていると診断されたのですがちょっと納得できなくて、で、ケツ専門の先生に診てもらおうと思いまして」「そういうことですか、ではお尻見ますのでベッドに横になってもらえますか」お尻?ケツではなく?言われるがまま横になり、僕は全裸になった。「上は脱がなくて大丈夫ですよー」早く言え。「あ、そうなんですね、ははは」体全体がケツになってるか調べるだろうから上も脱いだ方がいいと思ったのだけど。「あ、でも体全体診た方がいっか、ごめんごめん、脱いでおいてもらえますか」なんだコイツは。ケツオピ(セカンドオピニオン)は失敗だったかと思いつつ、早く僕のケツを調べてくれよとモジモジしていると、先生は僕の体を触りながらこう言った。「体全体がお尻です」「は?お尻?ケツではなく?」「お尻はケツですよー」「そうなんですか?それは知りませんでした」「特に問題はないのですけれど、何か生活に支障はありますか?」「あ、あの体がかゆくて」「塗り薬出しときますね」僕は診察室を出る前に、じゃあ肛門もケツなのか尋ねると「厳密には違う」とめちゃくちゃ怖い顔で言われたので服も着ずに慌てて外へ出た。ふと鏡に映る自分を見るとそこには1枚のケツが立っていた。 |