辻喜利
お題
映画「セミの一生」のワンシーン

(出題:星野児胡さん)
大地を背にしてながめる空は、
どこまでも遠く、どこまでも澄んで青かった。
遠くで母の声がしたように感じた。
最後の力を振り絞り、もう一度、身震いをしてみる。
ブルブルブルブルー。

「なんだ、このセミ。死にかけてるじゃん」
悪ガキに蹴飛ばされた次の瞬間、トラックが
彼の上を通り過ぎていった。

「これでいいんだ、これで。かあさん、今、会いにいくからね」
可愛い天使に導かれながら、
彼は憧れの青い高い空へと、のぼっていった。
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名前
1点 三つ巴
1点 ファルス男優

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