辻喜利
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お題
派遣の女あるある

(出題:タマさん)
順位 合計 投票 作品
1 5 -
[No.1] サノバビっちゃんさんの作品
ゴディバのチョコレート

レイコは派遣社員だ
今年で33歳になる
30歳になったときには絶望したがもう3年が経ってすっかり慣れた
慣れないほうがよかったかもしれない
今日は帰りにゴディバのチョコレートを食べた
金だけはある

家へ帰ると飼い猫のマルコが冷たくなっていた
数日前から死ぬふうだったがついに死んだのだ
悲しみはなくひたすらむなしかった
墓を作り、ゴディバのチョコレートを供えた
金だけはある

ひとっ風呂浴びてテレビを見ていたらベランダがうるさい
見てみると男が下着を盗むところだった
男は私を見ると大人しくなった
ゴディバのチョコレートをあげた
金だけはある

翌朝電車を待っているとホームが騒がしい
何かと思えば男が線路内に飛び出していた
飛び出していたというより落下していた
男は意識がないらしく客らの呼びかけに応えない
そのときレイコは気づいた
男の口元にはチョコレートがついていた
男は昨晩の下着泥棒未遂に相違なかった
彼は思いつめて死を選んだのか
それともこれは事件なのか
レイコは男を助けようと思った
こうして再会したのも何かの縁であると思った
ホームへ下りようとする私を猫がとどめた
そうそれは猫だった
客たちはみな猫になった
猫はマルコだった
数百のマルコが私を見ていた
行くなと言っていた
ホームに下りてはならないと言っていた
私はホームへ下りるのをやめた
電車がすべりこんできて下着泥棒を轢いた
人々は人々に戻っていた
マルコではなかった
マルコは消えた
レイコは思った
マルコが命を救ってくれたのだと
マルコは下着泥棒の命を犠牲にして私を救ったのだと
しかしレイコは違和感を禁じ得なかった
下着泥棒の命を犠牲にするほど自分の命には価値があるのか
下着泥棒の命と自分の命にどれほどの差があるのか
それは下着を盗むかゴディバのチョコレートを食べるかの差でしかないのではないか
疑念が渦巻いたがマルコは応えてくれなかった
レイコは出勤し仕事をこなした
帰り道にゴディバのチョコレートを食べた
金だけはある
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[No.2] Like@Angelさんの作品
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